時を繋いでいくこと

松を燃やした煤で作った松煙墨が、奈良墨の、日本の墨の始まりだ。

     その始まりの墨が、私たちの世代で終わってしまうかもしれない。

その危機感のきっかけは、原料の煤が手に入らなくなる事態に直面しているから。

松を燃やして作る煤を取る設備を自ら構え、原料から作ることに挑戦を始める。

     やがて植物油を燃やして作る油煙墨の原料も、手に入らなくなりつつある状況に。

2026年、夏。本格始動。

「大和松煙プロジェクト」の誕生の物語は、彼自身を含め、多くの媒体で取り上げられている。
ここでの紹介は敢えて省こう。

彼のひたむきで実直な日々の取り組みが、人々の心を動かした。

人々が共感し、人々を繋いだ。


つながった人々が、時をも繋いでいっている。


この夏、来る冬の製造シーズンに向けて、今日も彼は東吉野村へ足を運ぶ。


真っ黒になりながら、ただ煤を作るために。

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